自動車保険で一番最初に知って欲しい、対人賠償や対物賠償などの任意保険の基礎知識について
投稿日:2017年8月1日
前回は事故に遭遇してから自動車保険が支払われるまでについて自分の損害保険会社での勤務経験をふまえてお話させていただきましたが今回はさらに詳しく個人用自動車保険の中身・補償内容について自賠責保険との違いなどを説明させていただきながらお伝えいたします。
事故相手の方への補償について
個人用自動車保険には通常、運転中に人をひいてしまったり、他人の車にぶつけて破損させてしまった場合などに備える補償いわゆる対人賠償保険・対物賠償保険が基本補償としてセットされています。
対人賠償保険(基本補償)
ご契約されているお車を運転中に事故などで第三者の他人を死傷させてしまった場合(対人事故)にお客さまが法律上の賠償責任を負担することによって発生する損害に対して保険金をお支払いします。
対人事故は、死亡事故や重度の後遺障害が残る事故の場合、相手方への賠償額が極めて高額になるケースがあります。万が一に備えて個人のお客様が掛ける場合、どの保険会社でも保険金額は「無制限」に設定されているはずです。
私が損害保険会社に勤務していた時代に経験した最も大きな対人賠償額は約3億円超でした。以下のようなケースでした。
3億円の支払いがあった!私が経験した対人賠償保険金支払い
高速道路で契約車両(加害者)が普通乗用車に追突。乗用車に乗っていた被害者は31歳の男性で職業は医師、首から下を動かすことができなくなるいわゆる下半身不随となり重度の後遺障害を一生背負うことになるという重傷でした。
治療費はもちろんですが慰謝料、逸失利益(=交通事故に遭わなければ本来もらえたであろう将来の収入の減少をきたす損害)や、バリアフリーの家へ建て替え費用などで上記のような多額の損害額になったものです。
事故対応していた当時、まだ被害者の方は治療中の段階でしたのでその後、賠償額はさらに上乗せされたものと考えられます。
こんなことがあるから、自賠責保険だけじゃ足りないって言われるのよ~。
対物賠償保険(基本補償)
ご契約のお車を運転中の事故で第三者の他人のお車や家屋、公共のガードレールなどの財物に損害を与えた場合(対物事故)にお客様が法律上の賠償責任を負担することによって発生する損害に対して保険金をお支払します。
対物賠償保険も高額になるケースが増えているため、最近ではほぼどの保険会社も個人のお客様が掛ける場合は「無制限」で設定されているはずです。
対物賠償で一番保険金支払い件数が多いのは相手方のお車の損害に対する賠償で一般的な乗用車であれば数千万も何億円もかかることはまずありません。
ただし、例えば契約車両がコンビニエンスストアに突っ込んでしまい店舗および店内の商品を破損させてしまった。なおかつ、店舗復旧まで営業ができなくなるため休業損害まで発生となると賠償額は数千万円超になります。
商品が高価な物であればあるほど賠償額は跳ね上がり1億円超というケースもあります。ですから万が一に備え、無制限で設定されています。
ここからは自動車保険のお悩み相談室よ
自賠責保険(自動車損害賠償保険)に加入しているので対人・対物賠償保険は未加入でいいですか?
A.対人・対物賠償保険のパートで高額賠償事故例について説明させていただいたとおり、答えは“No”です。
運転する人は必ず加入しないといけない強制保険(=自賠責保険)の補償額は死亡・後遺障害時で最高3,000万円、ケガの場合は最高120万円が限度額となっており、現在の賠償水準からみても補償は十分とは言えません。
また自賠責保険は対人賠償のみを補償の対象としているので、相手の方のお車や家屋、ガードレール等を破損させてしまった場合の賠償は対象外となります。また自賠責保険のみの加入の場合、保険会社の示談交渉サービスはありません。
ですから自賠責保険のみ加入している場合は自分で相手の方との示談交渉をしなくてはなりません。損害賠償法律知識がなく自分ひとりで示談交渉することは非常に困難と思われます。万が一の事故にあった時、十分な補償を行うためにも任意保険(=自動車保険)の対物・対人賠償保険への加入は必須と言えます。
ちなみに、相手方の怪我もたいしたことがなく120万円を超えないだろうと思われる怪我でも任意保険をかけているのであればまず任意保険会社へ連絡しましょう。
通常、保険会社は対人賠償保険として事故報告を受け保険会社の人身担当者が怪我の状況などを確認し、相手方と交渉、損害額の算出を行い、示談が完了すればまず一括で対人賠償として保険金をお支払します。
その後、自賠責保険会社へ自賠責保険補償分を請求し回収します。
ただし怪我をした相手の方の責任割合(過失割合)が大きい場合は任意保険での一括払はせず相手方が直接、自賠責保険会社へ被害者請求(→自賠責保険では責任割合に関係なく怪我をした人が被害者という考えがあります)をするというケースもあります。
いずれにしても保険会社に相談しましょう。
例)治療費・慰謝料など含めて対人賠償としての損害額が130万円かかったとします。任意保険を掛けている保険会社にて先に一括で130万円支払いし、後に自賠責保険会社に120万円請求し回収します。
つまりこの場合、任意保険では10万円の保険金支払いということになります。
対人賠償のみで損害額が自賠責保険以内の金額であれば、事故カウントはされず次年度の等級も下がることはありません。
Q.対人・対物賠償は第三者の他人に被害を与えてしまった場合に支払いされることは分かったけど契約自動車で家族に怪我をさせてしまったり家族の物を壊してしまった場合は賠償はどうなっていますか?
A.第三者である他人に被害を与えてしまった場合は法律上損害賠償が発生しますが、被保険者本人はもちろん被保険者の父母、配偶者、子供いわゆる2親等以内の家族に対しての賠償責任は発生しませんので(=家族間では賠償するという考えにはならない)対人・対物賠償の対象外となります。
例えば契約者(=被保険者)が契約車両を運転中、ガードレールに接触して同乗者の奥さんと子供が怪我をしたという場合、対人賠償ではお支払できません。では治療費などは自己負担になるの?という疑問がでますよね?
この場合、自賠責保険に請求すればお支払することができます。ただ、前述で申し上げましたように自賠責保険は限度額があります。大きな事故で重傷を負ってしまった場合、十分ではありません。
それでは困りますよね。でもご安心ください!自動車保険には人身傷害、搭乗者傷害という補償をつけることができます。詳細についてはこれからお話します。
ご自身と同乗者の方などの怪我の補償について
人身傷害保険
人身傷害の補償は保険会社・保険の種類によって基本補償にセットされている場合と付けるかどうか選ぶことができる場合(オプション)がありますので、ご自身が掛けている保険会社に確認しましょう。
人身傷害をわかりやすく3つのポイントでご紹介いたします。
ポイント① 人身傷害は責任割合(過失割合)にかかわらず実際の損害額を補償
人身傷害はご契約のお車に搭乗中の方が、自動車事故により死傷した場合や後遺障害を負った場合に、治療費の実費や事故により働けない間の収入、精神的な損害をまとめて補償されます。
例えば相手がある事故の場合、相手方に100%責任のある事故であれば相手方から対人賠償としてお支払いしてもらえますが、お客様にも責任がある場合、お客さまの責任割合(過失割合)分については相手方の対人賠償からは補償してもらえません。
人身傷害をセットすると、お客さまの責任割合(過失割合)にかかわらず、実際の損害額が保険金としてお支払いされます。
ポイント② 保険金の先払いが可能。相手方との示談結果を待たずしてお支払いすることも可能!
相手方との示談交渉に時間がかかる場合、示談完了を待たずして人身傷害として保険金をお支払することができます。相手方への損害請求権は保険会社が取得し、示談完了後、相手方へ責任割合分を請求し回収します。
つまり示談ができていなくても先払いも可能、相手方とのわずらわしい交渉も保険会社へ任せておけばよいのです。
ポイント③ 人身傷害は2つのタイプから選べる
ほとんどの保険会社では人身傷害は、
- ご契約のお車に搭乗中の事故のみ補償するタイプ(「車内のみ補償」)
- 搭乗中の事故だけでなく歩行中、自転車を運転中などお車に搭乗していない時に遭遇した自動車事故も補償するタイプ(「車内、車外ともに補償」)
の2つのタイプから選ぶことができます。当然、補償が厚い分、後者のほうが保険料は高くなります。
・「車内、車外とも補償」タイプ
保険会社によって名称は微妙に異なるかもしれませんが「人身車外補償特約」というような特約を付けることで、ご契約のお車に搭乗中だけでなく、記名被保険者(=ご契約の自動車を主に使用される方で保険証券などの記名被保険者欄に記載されている方)、そのご家族(*)などがお車に搭乗していない時の自動車事故についても保険金をお支払することができます。
(*)ご家族の範囲について
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者またはその配偶者の同居の子、同居の親族
- 記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
「車内のみ補償」タイプ
「ご契約のお車に搭乗中の事故の場合のみ」に保険金をお支払するタイプです。「車内、車外とも補償」タイプと比べると保険料は安くなりますが、補償の対象となる事故が限定されますので人身傷害を付ける時には保険会社(代理店)によく確認してから付保ください。
後でもお話があるけど、自転車に乗る方がいるのであれば、車内外とも補償されるタイプがいいわよ~
・補償の重複はしないように!
ご家族で3台など複数所有している場合は、必ずしもすべての車に「車内、車外とも補償」の特約を付ける必要はありません。
お客さまご自身またはご家族(補償範囲については前述のご家族の範囲を確認ください)のいずれの方が、人身傷害「車内、車外ともに補償タイプ」を既にご契約の場合は、車外補償が重複してしまうことがあります。
この場合、2台目、3台目のお車は「車内のみ補償」タイプにすることにより補償の重複をなくすことができます。
人身傷害保険の補償についてご理解いただけましたでしょうか?
今や人身傷害の付保率は各社とも90%超です。保険金額は通常3,000万円~5,000万円で設定されているケースが多いです。少なくとも一家の大黒柱であるお父さんであれば万が一に備え5,000万は最低でも設定していただきたいところです。
私はこれで人身傷害をマスターしたわ!
さて、前回の「自動車保険が支払われるまで」の記事の中で、私の友人の息子さんが自転車に乗っていて車と接触、その場では大丈夫と思い相手の連絡先をきかず後日、肩に痛みがでてしまい病院で治療し費用を支払いしたというケースをお話しましたこと、覚えていらっしゃいますか?
その時、私は友人に以下のようなアドバイスをしました。
友人はご家族も含め一家3台の自家用自動車を所有していましたので「自身や家族の車の自動車保険に人身傷害付いてない?その人身傷害は車外補償特約付いてない?」と。
1台でも人身傷害車外補償特約が付いていれば、車に搭乗中の自動車事故でなくても人身傷害の対象になることを伝えたところ、友人は目からウロコだったようで「知らなかった!
契約している自動車に乗っていない自動車事故でも怪我の補償をしてもらえるのですね!」と早速、保険会社へ連絡し手続きをしてもらったようです。
確かに「車内のみ補償」のほうが保険料は安いですが、自動車事故は自身の車に乗っている時だけとは限りませんので「車内、車外ともに補償」をセットされることをオススメします。
自転車以外でも交通乗用具なら車外でも担保してもらえるのよ~♪
搭乗者傷害保険
*オプションで加入することができる補償です。
*保険会社によっては人身傷害にセットできる特約により「搭乗者傷害」という選択肢がない場合があります。
ご契約のお車に搭乗中の方が、自動車事故により死傷した場合や後遺障害を負ったあとにあらかじめ設定されている保険金額がお支払されます。
搭乗者傷害ではお怪我の治療中であっても怪我の症状によっては保険金をスピーディーに支払ってもらえます。入院費や通院費など当面の費用が必要な時でも安心です。
通常、入・通院のお怪我の場合、5日以上で部位症状別に設定されている保険金が支払いされます。
4日以内ですと一律いくら(例えば1万円)と決まった保険金が支払いされますが人身傷害とセットされている場合や、保険会社によって微妙に異なりますので確認してみてください。
また搭乗中の方が亡くなられた場合や重度の後遺障害を負った場合、死亡・後遺障害保険金の一時金としてお支払いされます。保険会社によっては搭乗者傷害日額払いの特約が付けられるケースもありますので掛けられている保険会社に確認してみましょう。
人身傷害と搭乗者傷害の違いがいまいちよく分からないのですが・・・? どっちを付けたほうがよいのでしょうか?両方付ける必要がありますか?
A.どちらも契約自動車にご自身や家族が搭乗中に自動車事故にあった際のお怪我に対して補償されるという共通点がありますが、違いは簡単に言いますと、人身傷害は実際の損害(治療費実費、休業損害など)に対してお支払されるのに対して搭乗者傷害はあらかじめ設定されている保険金額がお支払されます。
人身傷害の場合、実際にかかった費用がお支払されますが搭乗者傷害では実際にかかった治療費などはお支払されません。
ただし人身傷害の場合はお怪我であれば治療費の確定するまで、死亡・後遺障害であれば逸失利益の算出、後遺障害の級の判定まである程度時間を要し、保険金支払いまで時間がかかる場合があります。
一方、搭乗者傷害の場合は、お怪我であれば部位症状が分かれば、また死亡・後遺障害であればあらかじめ設定されている保険金額が素早く支払ってもらえるというメリットがあります。
ただし、人身傷害に搭乗者傷害の一時金支払いの代わりとなる「入・通院定額給付金特約」「人身傷害死亡・後遺障害定額給付金特約」といった特約をオプションで付けることができる保険会社もありますので、各保険会社(代理店)に確認してみるとよいでしょう。
ご自身のお車の補償について
車両保険
車両保険を付けられるかどうかはお客さまの任意(オプション)となります。これまで説明しました対人・対物賠償、人身傷害・搭乗者傷害とこれから説明します車両保険の中では一番、保険料が高いのが実は車両保険です。
つまり、車両保険を付ける場合と付けない場合では大きくお客さまの保険料が変わってきます。「保険料が高いのだったら付けるのはよそうかな・・・?」と思われるかもしれませんが、私は車両保険を付けられることをオススメします。
車両保険が一番、保険料が高いということは裏を返せば、自動車事故の中で最も件数が多いからなのです。車両保険の掛け方のパターンは何種類かありお客さまのニーズによって保険料の節約もできますので詳しく説明しますね。
車両保険はご契約のお車が事故により損害を被ったり、盗難に遭った場合に保険金をお支払します。一般的な自動車保険の車両保険は、「一般車両」「一般条件」などと呼ばれるフルカバーの場合と
- 「エコノミー」
- 「車対車+A特約」
- 「車対車+限定特約」
などと呼ばれる限定される場合の2種類に大きく分かれます。
車両保険で補償されるケースは以下のような場合です。
お車同士の事故
交差点などで、走行中の他のお車(バイクや原付も含む)と衝突した場合に契約車両の損害に対して補償します。
契約車両の盗難
ご契約のお車が盗難の被害に遭った場合に補償されます。お車の部品や盗難されている間に被った被害についても補償されます。
カーナビなどの付属品も車内で使用することを目的としてご契約のお車に固定されている場合のみ盗難の対象になります。
火災、台風、落書き・いたずら、飛来・落下等による損害に対しての補償
ご契約のお車が火災・爆発、落書き・いたずら、台風・竜巻、洪水・高潮などの水災、または物の飛来・落下により被害に遭われた場合、補償されます。
*雪の重みでカーポートが壊れ下に駐車していた車に損害が生じた場合など雪による間接的な損害は「物の飛来・落下等」として補償されます。
単独事故、当て逃げ
相手がいない事故いわゆる単独事故や相手が不明の場合いわゆる当て逃げ事故の場合のお車の損害に対して補償されます。
車庫入れの際にこすった場合や、スリップでガードレールに衝突した場合、また当て逃げされた場合などの車両損害について補償されます。自転車との衝突によるお車の損害も補償されます。
「一般車両」「一般条件」といったフルカバーの車両保険に加入していれば以上のようなケースでご自身の車両の損害に対して補償されます。
「車対車+A特約」「車対車+限定特約」といった限定の車両保険に加入している場合は、
当然、フルカバータイプに比べ保険料は安くなりますが単独事故や当て逃げは補償されませんので注意が必要です。盗難、火災、台風・水災、落書・いたずら、物の飛来・落下については限定特約でも補償されます。
限定特約は文字通り「車対車」、相手が車でないと補償されません。よくあるケースなのですが駐車中に当て逃げされた場合、たとえ損傷具合から明らかに車によるものと分かったとしても相手車を特定しないと限定特約では保険金をお支払することができません。
相手車を特定するということは相手車の所有者名、住所、登録番号などの情報が必要です。
当初は保険金を請求するつもりはなかったので相手の連絡先など確認しなかったため相手車を特定できないという場合も限定特約では補償されませんので注意が必要です。
また車以外の物と接触し、自身の車が破損した場合も限定特約では補償されません。例えば、壁やガードレールなどの車以外の物ももちろんですが自転車や電車、動物との接触事故などの場合も補償されません。
そういえば、地震・津波による車両損害はどうなのでしょうか。。。?
地震大国の日本においては気になるところです。記憶に新しいところでは東日本大震災の際に多くの車両が津波で流された映像をご覧になられたと思います。
実はフルカバータイプの「一般車両」で契約されていたとしても残念ながら地震・津波による車両損害は補償されないのです。もし地震・津波による損害が心配・・という場合は「地震・噴火・津波車両損害特約」という特約が保険会社によってはありますので掛けられている保険会社に確認してみてください。
車両保険の保険料の節約方法としてはもう一つ、自己負担額(免責金額)を設定するという方法があります。事故に遭った際はあらかじめ設定しておいた自己負担額を差し引いて車両保険金がお支払されます。
自己負担額を多く設定すると事故時に支払われる保険金は少なくなりますが、その分、保険料を抑えることができます。自己負担額の設定パターンは各保険会社によっても違いますので設定パターンと保険料差額を確認してみてください。
いずれにしても最初にお話しさせてもらいましたとおり車両保険を付けられることオススメします。
購入したお車にローンが残債している場合は特に必要と思われます。例えば、オートローンで車を購入し残債がまだ200万円ある状態で事故により車が大破してしまった・・・。
相手がいて100%相手方の責任であれば相手の対物賠償で補償されますが、自分の責任割合(過失割合)が大きい場合や単独事故の場合、車両保険を付保していないとどこからも補償されません。
そして車はなくなり、ローンだけが残ってしまったということになり家計へのリスクは大となります。
車両保険はお客さまのライフスタイルによって様々に設定できますのでお客さまの必要性に応じて組み合わせを選択されてみてはいかがでしょうか?
*車両保険に関する特約は各社ともその他様々なオプションの特約がありますがこちらについてはまたの機会にお話しさせていただければと思います。
運転者の限定・年齢条件、自動車の使用目的
補償となる運転者は運転者限定特約、運転者年齢条件特約により範囲を限定し保険料を安く抑えることができます。
運転者限定特約
自身や奥さま、もしくは同居の家族しか運転しないという場合に設定する特約です。
運転者限定特約には「本人・配偶者限定」または「家族限定」を付帯することによって運転する方を限定した場合は、限定された方がご契約の自動車を運転中の事故に限り、保険金をお支払します。
運転される方を限定することで保険料を割り引くことができます。保険会社によっては本人限定特約という本人のみという特約を設定している保険会社もありますので掛けている保険会社に確認してみてください。
家族限定の家族の範囲はどこまでですか?
A.家族限定特約を設定している場合の運転者の範囲は以下の通りとなります。
- 記名被保険者または配偶者
- 記名被保険者または配偶者の同居の親族
- 記名被保険者または配偶者の別居の未婚のお子さま
となります。
例えば同居のお子さまが免許を取得されてお父様ご契約のお車に乗り始めるということになれば、「本人・配偶者限定」から「家族限定」へ変更する必要があります。
また逆に同居のお子さまがご結婚されて生計が別になるということであれば、
「家族限定」で設定されていた特約を「本人・配偶者限定」へ変更し保険料を安く抑えることができます。
あとよく質問される別居の未婚の子の定義ですが、未婚の子は一度も婚姻歴がない子が未婚の子ということになります。一度でもご結婚されている場合は対象外となりますのでご注意ください。
運転者年齢条件特約
運転者年齢条件を設定した場合は、運転者年齢条件を満たす方がご契約の自動車を運転中の事故に限り、保険金をお支払します。
全年齢補償、21歳以上補償、26歳以上補償、35歳以上補償などから年齢条件を選ぶことができます。年齢条件を適用する方のうち、最も若い方の年齢に応じて選択ください。
全年齢>21歳以上>26歳以上>35歳以上と年齢が若い条件ほど保険料が高くなります。ただし近年の高齢化により、同じ35歳以上補償でも被保険者の年齢に応じた料率となっており高齢者になればなるほど保険料率は高く設定されています。(各社料率は異なりますので各保険会社に確認ください)
運転者年齢条件は、次の方に適用されます。
- 記名被保険者または配偶者
- 記名被保険者または配偶者の同居のご親族
運転者年齢条件は①の別居の未婚のお子さまや①、②以外の方が契約自動車を運転中の場合の事故については運転者年齢条件を適用しません。
例えば大学生の別居の未婚のお子様が帰省した際、お父様のご契約の車に35歳以上の年齢条件が設定されていたとしても年齢条件は適用されませんので帰省中に運転されても大丈夫ということになります。
自動車の使用目的について
ご契約条件を設定する上で、自動車の使用目的に合わせて保険料が決まります。
業務使用、通勤・通学使用、日常・レジャー使用から選択できます。
業務使用>通勤・通学使用>日常・レジャーと保険料率は高くなります。
通勤にも日常・レジャーにも使うということであればどちらの頻度が高いかで選択します。
ご契約の自動車を定期的にかつ継続して使用される目的を選択するのですが、「定期的に、かつ継続して」とは年間を通じて月15日以上の使用頻度をいいます。
以上、契約車両を運転する方と使用目的に合わせて保険料が決まりますので、各ご家庭のライフステージにあわせて運転者限定特約、運転者年齢条件特約、使用目的などの条件を見直しましょう!
他車運転特約
最後にどの保険会社でも自動車保険に必ず自動セットされているはずの特約「他車運転特約」についてお話します。
他車運転特約とは、被保険者が例えば友人から借用中の自動車(自家用8車種に限ります)を運転中の事故に遭遇した際、借用中の自動車をご契約した車とみなして、ご契約のお車の内容に従い保険金をお支払することができる特約です。
ご自身の契約している保険から優先してお支払することができますので貸主にご迷惑をかけることもありません。
注1)他社運転特約は運転中のみ補償されます。駐車または停車中は対象外となります。
注2)「借用中の自動車」には、記名被保険者、その配偶者またはこれらの方の同居のご親族が所有または主に使用する自動車は含まれません。あくまで“他車”での運転中の事故が対象となります。
借りたお車自体の車両損害についても、ご契約のお車が車両保険に加入されていて、一定の条件を満たせばご自身の保険から優先して保険金をお支払することができます。
ただし車両事故が補償の対象となる場合は、借用中の自動車の時価額を限度に保険金をお支払します。ご自身の車両保険の金額が限度となるわけではありません。
以上、今回は自動車保険の基本的な補償内容を中心にお話しさせていただきましたがいかがでしたでしょうか?
自動車保険についてはお客さまのニーズの多様化に合わせてその他、様々な特約や、ロードアシスタンスサービス、複雑な等級制度、また様々な割引制度等、まだまだお話したいことがたくさんあるほど、とても奥が深いのです。
著者の情報
- 国内系大手損害保険会社でにて主に自動車販売会社の代理店営業を経験したのち、SBIホールディング社にて日本最大級の一括見積もりサイトの運営に従事。生損保約40社とのビジネスを介して、保険のダイレクトマーケティングを行ってきました。現在は株式会社プリモポストの代表取締役として、アニメーション動画(Youtube)を通じて保険をわかりやすく紹介する事業にも取り組んでいます。
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